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濃厚な再現を誇るWadia PRO

濃厚な再現を誇るWadia PRO
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マイケル *

79年代後半頃からオーディオ地獄に突入して様々な試行錯誤を繰返す事10年、アナログ系のシステム構築がほぼ落ち着いていた頃CDがレコードの売り上げを抜いてLPの発売が激減してしまい、残念であるが90年代にはとうとう終止符が打たれてしまった。

当時様々なジャンルの優秀録音盤LPを1000枚程収集していた。その大半は50年代録音のJAZZであった。時代の波に乗ろうとLPと同じタイトルCDを買いあさり始めたのは良いがLPの音とは異質でとても満足できる代物ではなかった。原因は殆どが未熟なD/AC(デジタル トゥ アナログ コンバーター)のせいである。その後D/ACの改良が行われてきたがまだ自然なアナログ再生音には遠く及ばずであった。だが80年代後半に発売されたDSP(デジタル シグナル プロセッサ)方式のWadiaを知ってデジタルの良さに目覚めた。

当時のメインは勿論アナログ再生である。あの厚みのある自然な音をデジタルで再現できないものかと模索中であった時運良く?Wadiaを試聴する機会にめぐりあった。デジタル嫌いのアナログファンとしても納得ができる唯一の再生音であったが、非常に高価な機器ゆえデジタル再生に支払うリスクが高すぎると感じた。そのWadia製品群の中に無骨なデザインではあるが何とか手の届きそうなWadiaPROを見つけた。

数ヶ月悩んだ末購入を決めた。当時トランスポートとして使用していたのはマランツCD94リミテッドだった。94を選んだ理由はドライブメカの優秀性からである。フィリップス社が開発した強固な亜鉛ダイカスト製シャシーをベースとしたスイングアーム方式のピックアップシステムを搭載していた。振動に強く誤作動が少ないのが特徴であった。またLPの高音質盤を再現するビクターの24ビットK-2インターフェースを使った録音CDが発売され始めたのもその頃であった。20万クラスの高級CDプレーヤーで聞いても以前の録音盤と大差があり、よりアナログに近いと感じた。

WadiaPROは非常に力強い低域をベースとして全帯域が厚くエネルギッシュな音になる。特にクリアーな低域は超重量級アナログプレーヤーのインシュレーター無しの音を更にクリアーにした音の様相に似ていて、通常の状態では得る事ができない再現であった。馴染みの電気店の主人もオーディオマニアで、家でこの音を聞いて舌を巻いていたのも楽しい思い出である(笑)

とっておきの輸入CD、チェット・ベイカーの「チェット」の1曲目、Alone Together のバリトンサックスの再現音が正にコレ!この音があればと唸らせるものがあった。このCDの原盤は50年代の真空管機器類で録音されている。バックに低いハム音らしきものが乗っているがこれも妙に生々しいのである。

トランペットの再生も素晴らしいものがある、原寸大でそこで吹いている気がした。それからは優秀録音盤のCDを集めるようになった。一般アンプD/ACとして使用するにはキャノン出力しかないWadiaPROは使いにくい。バランス→アンバランス変換アダプターを使用すればよいが、理論的には延長しても損失が少なくノイズの影響を受けにくいバランスケーブルでの再生音は素晴らしいものがあるので、後のアンプ類の購入にはバランス入出力を備えたものを選んだ。

最後にたどり着いた自作真空管アンプも全てバランス接続ができるようにしていた。今でもマニアを唸らせる濃厚な音の再現をするWadiaPROは知る人ぞ知る的な存在である。Wadiaはアメリカのコンピュター屋である。CDが発売された当初から各社がD/ACの開発に凌ぎを削っていた頃Wadiaがその未熟な能力に活を入れ、市場に参戦してきた。以後一般市場のDSPを使ったD/ACの開発が進んだのもWadiaあっての事である。


(No.126)2009/04/21/Tue/10:03

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